―アジア太平洋島嶼地域における観光科学の教育研究拠点をめざす―

琉球大学観光産業科学部観光科学科 学科長 教授 荒川 雅志

1.観光科学科および観光科学研究科の設立経緯

琉球大学の観光科学科Department of Tourism Sciences(以下DTSと略)は、2005年度に法文学部内に1学年定員40名として創設されました。国立大学系として日本初であり、観光立国宣言以降、全国に観光系学部コースが相次いで新設される動きのまさに先駆けでありました。07年度には定員60名へと増え、08年度に産業経営学科との統合により、琉球大学で最も新しい7番目の学部「観光産業科学部」へ移行しました。09年度には観光科学研究科Graduate School of Tourism Sciences(修士課程の大学院、以下GSTSと略)が開設されました。発展著しい沖縄での高度人材育成に大きな期待が寄せられる結果、昨今の社会情勢では異例の速さで拡充され現在に至っています。

2.観光科学科の教育理念および学生の特徴

DTSではグローバル化時代を見据え、持続可能な開発に資する人材、高い学士力を身につけ、現代社会で創造的に活躍できる人材を育成することを教育理念とし、特に①地域及び広く社会に貢献できる能力、②外国語運用能力と国際感覚を有し、国際社会で活躍できる能力を身につけた人材を育成することを教育目標に掲げています。学生の約7割は女性、約3割は県外出身者です。観光の本場沖縄で観光の勉強がしたいという学生が多く、2013年度は北海道から沖縄まで16都道府県および韓国や台湾からも学生が来ています。海外志向が強く、国内外への旅行、短期留学やワーキング・ホリデーに参加する学生が多いのも特徴です。

観光科学科カリキュラム
観光科学科カリキュラム

3.観光科学科(学部)および観光科学研究科(大学院)のカリキュラム

DTS(学部)では観光英語科目群を設置し、外国語運用能力の向上に力を入れています。英語で学ぶ観光学概論や沖縄の文化歴史、また、旅行産業で世界トップレベル学部のハワイ大学と双方向型の遠隔講義システムを構築しています。選抜された学生は夏季休暇中にハワイ大学に無償で研修派遣する授業もあり、実践的なコミュニケーション能力向上を目指すとともに、国際理解、地域社会の多面的理解力を養っています。沖縄の亜熱帯海洋性の自然環境に根差した「エコツーリズム論」、健康長寿資源と観光の融合を図る「ヘルスツーリズム論」など、ここでしか学べない科目群も大きな特徴のひとつです。

遠隔授業
遠隔授業

観光専門科目では3つの分野、(1)ツーリズムビジネス(観光経営等)、(2)ツーリズムデベロップメント(観光政策・経済等)、(3)ツーリズムリソースマネジメント(自然文化資源管理・保全等)を設けています。2年次後期から各研究室(ゼミ)に分かれてテーマに準じた演習を進めます。一貫した指導により独自の研究テーマを見出し、論理的思考の涵養、課題解決法や専門性向上に資する能力を養います。

ヘルスツーノルディック
ヘルスツーノルディック

GSTS(大学院)は、(1)観光計画・政策、(2)観光企画・運営、(3)人・自然・文化という3つの分野に集約し、持続可能性を踏まえた観光のあり方を研究します。1学年定員は6名で、学部新卒、社会人経験者、留学生を混在させることで、異質な価値観を持つ学生が切磋琢磨し意見交換の機会を与え、グローバル人材の育成を図っています。

森林調査
森林調査

4.卒業生の進路

これまで第六期生までが卒業しました。第一期生は就職率100%で、観光関連産業就職者は6割を超えました。観光科学科で修得した知識や能力は観光の専門職にとどまらず、金融、IT、官公庁自治体、海外など幅広い分野で活かすことができます。平成24年度の就職率は97.2%と全国大学でトップレベルであり、学科創設以来これまで安定して高い就職率を維持しています。

5.DTS・GSTSの地域・国際貢献

DTSおよびGSTSの教員は、地方自治体などの委員を数多く引き受け、専門的知識を地域社会に還元しています。教員一人あたりの受託研究、共同研究数は他の学部学科と比べて群を抜いて多く、地域のニーズに応え、地域の課題解決に寄与する研究、理論と実践の統合を目指す研究分野を推進しています。2009年にはDTSの卒業生が主体の同窓会「琉球大学観友会」が設立されました。県内外で活躍する卒業生の情報交換の場となり、在学生へ就活アドバイスもおこなっています。今後、この観友会は沖縄県をはじめ広く社会へ貢献する大きな力になると期待しています。

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