久米島『地域事業者連携の食物アレルギー対応』事業

社団法人 久米島町観光協会

那覇から飛行機で35分、東シナ海に浮かぶ久米島では、“食物アレルギー”を持つ方も安心して沖縄の離島体験ができるよう、地域事業者が連携した取り組みをおこない話題を集めている。

“食物アレルギーに配慮した旅行”という発想

食物アレルギーを持つ方でも、原因食材の誤食と混入を防げば、外食や旅行を楽しむことができる。しかし、飲食店の対応や社会的理解の遅れから、外食や旅行に際し、大変な苦労を伴うのが実情である。

このような社会的背景の中、2007年、久米島の観光振興を議論していた際、メンバーの一人の食物アレルギーを持った子の親から「外食ですら大変な労力を要するのに、旅行なんて夢の話。」という話を聞き、旅行における食物アレルギー対応に着眼した。場合によっては命にかかわる為「リスクが高い」という声もあったが、議論の末「旅行の楽しさを知らない子どもたちに、喜んでほしい!」という結論に。そして、観光事業者のみならず、旅客運輸、病院、NPO が協力し合い、日本初、おそらく世界初である食物アレルギー対応の離島観光の取り組みがスタートした。

「リスクが高い」 = 実施までの軌跡

観光事業者が敬遠しかねない、食物アレルギーというリスクの高いお客様の受け入れに対し、当初は私たちも大きな不安を抱きながら、“ホテルのシェフが作る、味も見栄えも良いアレルギー対応食”の勉強と試作を重ねた。その結果、2007年末、初めてのお客様受け入れとなる食物アレルギー対応旅行のモニターツアーを実施。お母様方の中には、「この子が生まれて初めて食事の心配をせずに楽しく過ごせた」と、感動して泣き出してしまう方も。この出来事は、私たちにこの取り組みの意義を実感させ、士気を高めた。アレルギー症状の発症なく無事モニターツアーを終えたことが自信に繋がり、2008年7月、久米島での「食物アレルギー対応」旅行がスタートした。

お客様の安心を作る、3本柱

食物アレルギーを持った子のいるご家族が沖縄の離島“久米島”まで足を延ばせるよう、この旅行には3本の柱がある。

1.シェフが腕をふるうアレルギー対応食

久米島の3つのリゾートホテルで、10品目(卵・乳・小麦・そば・落花生・エビ・カニ・大豆・ゴマ・ナッツ類)を2次原料からも除去した食事を、朝・昼・夕の3食揃えている。専用の調理器具を用意し、混入対策に努めている。また、ホテルレストランのシェフが作る、見た目も味も満足いただける対応食は、旅行の醍醐味となっている。

2.専任の事前相談員

久米島の一元窓口として、食物アレルギーの基礎知識と、久米島での対応内容との両方を理解する『久米島コンシェルジュ』がいる。久米島のアレルギー対応における「できること」「できないこと」をお伝えし、お客様のご判断をお手伝いする。久米島の観光案内もカバーし、お客様から高い信頼を得ている。

3.公立久米島病院のバックアップ

島のほぼ中央に24時間対応の公立久米島病院がある。この病院と連携をし、アレルギー対応旅行をお申込みのお客様情報を事前に共有して、緊急時の対応に不安を感じられるお客様も、安心してお越しいただける環境を整えている。

『久米島の安全対策は、おしつけがましい』と言われた ~ 最初の壁

食物アレルギーといっても人によって様々で、原因食材が微量でも混入することで反応する方がいる半面、調理の工夫や体調次第で原因食材を少しなら摂取できる方もいる。その境目は、毎日一緒に過ごす家族にしかわからない。

私たちは当初、食事中の混入対策として、アレルギー対応旅行のお客様にはご家族全員にアレルギー対応食をご注文いただくことで旅行受け入れをスタートした。しかし、一部のお客様から、『アレルギーの子は対応食を、同行者は好きなメニューを選ばせてほしい。』 『私たちには、久米島レベルの安全対策までは必要ない。おしつけがましく旅行も楽しめない。』と言われた。かたや、食事を作り提供する厨房スタッフには、調理中や盛り付け時の混入対策を徹底している反面『もし卓上で混入があったら』との懸念があり、心の余裕を無くすこともあった。

こんな状況を打破しようと、「事業者は食事の原材料や調理の情報提供を徹底し、ご家族全員が対応食を取るか否かは各家族の判断に任せる」という方針を事務局で取りまとめ、ホテル支配人からホール担当まで、現場に足を運び話す中で共通認識を醸成した。その結果、ホテルにも余裕が生まれ、アレルギー対応食のメニューの充実にも繋がった。

現在のお客様の反応

お客様からは、「食物アレルギーの基礎知識を持つ相談員が事前相談に乗ってくれ、手配を進めてくれた。」 「アレルギー対応食を前に、『好きな物を食べていいんだよ』と、初めて子どもに言ってあげられた。」 「安全性を維持しながら続けていくことは大変ですが、これからも是非続けて欲しい。」といった手紙やメールが多く寄せられている。2010年12月末までに延べ167家族(599名)が旅行を楽しまれた。

この事業で得たものと、今後の展開

最大の成果は、ライバル関係になりかねない3ホテルを始め観光・運輸旅客等の民間事業者と、役場・病院といった公共機関とが協同して取組み、一つの机で定期的に議論を交わす素地ができたこと。これが今後の久米島にとって大きな「強み」になることは間違いない。

今後の展開としては、「誰にでも優しい島、久米島」として、食物アレルギー対応で培ったオペレーションノウハウと、地域事業者の連携基盤を活かし、高齢者や障害を持つ方、長期滞在でも楽しめるプランなど幅を広げて様々なニーズに対応できる準備を現在進めている。

http://www.kanko-kumejima.com

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